親の介護が始まったらまず確認する5つの制度【申請しないともらえない】

介護は突然始まる。制度を知っているかどうかで負担が変わる
親が転倒して骨折した。認知症の症状が出てきた。介護は多くの場合、準備する間もなく始まります。
そのとき、公的な支援制度を知っているかどうかで、時間的にも金銭的にも大きな差が出ます。介護に関する公的支援は「申請しないともらえない」ものばかり。自動的に適用されることはありません。
この記事では、介護が始まったときに最初に確認すべき5つの制度を、申請の順番と一緒に解説します。
まず最初にやること:要介護認定の申請
全ての介護サービスの起点は要介護認定です。これがないと介護保険のサービスは使えません。
申請の流れ
- 市区町村の介護保険課に申請書を提出
- 調査員が自宅を訪問し、本人の状態を調査
- 主治医の意見書(市区町村が依頼)
- 審査会で要介護度を判定
- 結果通知(申請から約30日)
要介護度と使えるサービスの上限
| 要介護度 | 状態の目安 | 月額利用上限 | |---|---|---| | 要支援1 | 日常生活はほぼ自立 | 約5万円 | | 要支援2 | 一部の日常動作に支援が必要 | 約10万円 | | 要介護1 | 歩行・入浴等に一部介助が必要 | 約17万円 | | 要介護2 | 日常動作に介助が必要 | 約20万円 | | 要介護3 | 日常動作に全面的な介助が必要 | 約27万円 | | 要介護4 | 生活全般に全面的な介助が必要 | 約31万円 | | 要介護5 | 寝たきり等、最重度 | 約36万円 |
自己負担は1〜3割(所得による)。要介護3で月27万円分のサービスを使っても、自己負担は2.7万〜8.1万円です。
制度1:介護保険住宅改修費(最大20万円)
自宅をバリアフリーに改修する費用を介護保険が補助する制度です。
- 上限: 20万円
- 自己負担: 1〜3割(実質14万〜18万円の補助)
- 対象工事: 手すりの取付け、段差の解消、滑り止め、引き戸への変更、洋式トイレへの交換
注意点
- 事前申請が必須。工事してから申請しても認められません
- 要介護認定を受けている方が対象
- ケアマネージャーに相談してから工事業者を手配
- 同一住宅で生涯20万円まで(要介護度が3段階以上上がった場合はリセット)
よくある改修例
- 浴室に手すりを設置: 3万〜5万円
- 玄関の段差にスロープ: 5万〜10万円
- トイレを和式→洋式に: 15万〜20万円
- 廊下に手すり: 1m あたり5,000〜1万円
制度2:福祉用具購入費(年間10万円)
介護に必要な用具の購入費を補助する制度です。
- 上限: 年間10万円
- 自己負担: 1〜3割
- 対象: 腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトの吊り具
レンタルできる福祉用具(月額数百円〜)
購入ではなくレンタルできる用具もあります。
- 車いす: 月額300〜1,000円(1割負担の場合)
- 介護ベッド: 月額500〜1,500円
- 歩行器: 月額100〜500円
- 手すり(工事不要タイプ): 月額200〜500円
レンタルは月額の1〜3割負担なので、高額な用具でも無理なく利用できます。
制度3:高額介護サービス費
月々の介護サービスの自己負担が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。医療の高額療養費制度の介護版です。
- 一般的な所得の方: 月額44,400円が上限
- 住民税非課税世帯: 月額24,600円が上限
- 生活保護受給者: 月額15,000円が上限
つまり、どれだけ介護サービスを使っても、月4.4万円以上は請求されない仕組みです(一般所得の場合)。
申請方法
初回は市区町村に申請が必要。2回目以降は自動的に払い戻されます。
制度4:介護休業給付金(賃金の67%)
家族の介護のために仕事を休む場合、雇用保険から給付金が支給されます。
- 金額: 休業前賃金の67%
- 期間: 対象家族1人につき通算93日まで
- 分割: 3回まで分割取得可能
- 対象: 雇用保険に加入している労働者
知られていないポイント
- 介護休業は「介護するための休み」ではない。介護の体制を整えるための休みです。93日間で施設を探したり、在宅介護の仕組みを作ったりする期間
- 介護休業中も社会保険料は免除されません(育児休業とは異なる)
- パート・契約社員でも、勤続1年以上なら取得可能
制度5:特定入所者介護サービス費(食費・居住費の軽減)
介護施設に入所する場合、食費と居住費は原則自己負担ですが、低所得の方は軽減されます。
- 対象: 住民税非課税世帯等
- 軽減額: 食費が1日300〜650円に、居住費が0〜1,310円に
特別養護老人ホームの場合、通常は食費1,445円+居住費2,006円/日ですが、軽減が適用されると月額で3万〜6万円安くなります。
遠距離介護でも使える制度
親が遠方に住んでいる場合でも、以下の制度は利用可能です。
- 介護休業給付金: 遠方の親の介護でも取得可能
- 住宅改修費・福祉用具購入費: 親が住む自治体に申請
- 高額介護サービス費: 親が住む自治体で自動適用
ケアマネージャーとの連絡は電話やオンラインでも可能です。まず親が住む地域の地域包括支援センターに電話してください。
最初の1週間でやるべきことリスト
- 地域包括支援センターに連絡(電話番号は市区町村のHPに掲載)
- 要介護認定を申請(地域包括支援センターが代行可能)
- ケアマネージャーを決める(地域包括支援センターが紹介)
- 介護休業を検討(勤務先の人事部に相談)
- 住宅改修が必要か確認(ケアマネージャーと一緒に自宅を確認)
全ての起点は地域包括支援センターです。何から始めればいいかわからない場合は、まずここに電話してください。